禁煙外来
禁煙外来の流れ
- 保険診療が可能かどうかの確認(下記項目をすべて満たすことが必要)
- 禁煙の意思の確認
- ニコチン依存症の評価:質問票によって評価します
- 35歳以上の場合のみ:1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上
- 過去1年間禁煙治療を受けていないこと
- 吐いていただいた息の一酸化炭素濃度の検査:喫煙状況の確認のためです
- 禁煙治療の説明
- 禁煙治療の意思の確認
- 禁煙経験の確認とアドバイス
- 禁煙治療の文書による同意
- 禁煙開始日の決定
- 禁煙補助薬の選択・・・飲み薬と皮膚に貼るパッチがあります
- 禁煙治療の開始 初回、2週、4週、8週、12週後に受診
*途中でやめると、成功率が下がります。最後までがんばりましょう。
禁煙治療の費用
・保険診療かつ3割負担の方であれば、3ヵ月の治療完結で約1.3万~2万円です。
禁煙外来について
喫煙に関してどのようなイメージでしょうか?
自分は医師になるまでは、肺癌が増える、肺に悪いというイメージぐらいしかありませんでした。しかしながら、肺癌だけではなく、のどや舌、胃の癌なども増やします。煙のみでは関係なさそうな膀胱癌や膵臓癌など他の癌も増やします。肺気腫といってタバコによる肺を壊す病気も増えます。さらに、心筋梗塞や脳卒中、腎不全など動脈硬化による疾患を増やしてしまう作用もあります。動脈硬化に影響する因子として、糖尿病・高血圧・高コレステロール血症が有名ですが、たばこには同じレベルで動脈硬化を進めてしまう作用があります。中性脂肪や尿酸が高いことよりも強い影響とされています。糖尿病や高血圧を悪くする作用もあります。思った以上にいろいろな病気の可能性を増やしてしまいます。
では、禁煙しましょうとなるのですが、なかなかできません。
なぜでしょうか?タバコに含まれるニコチンの依存のためとされます。喫煙を控えるとニコチンが不足していらいらしたりなどして、喫煙したくなります。また、精神的にも依存状態で、なんか吸わないと落ち着かないとなります。
みなさんがまず考えるのは、徐々に減らしていくことです。もちろん多いより少ない方がいいと考えられますが、一部の疾患では喫煙量を1日0、1本、5本、10本、20本などと比較して、0本と1本でも差があった。1本と5~15本との差より0本と1本の差の方が一番大きかったというデータもあります。つまり0本にすることが大事です。さらに、徐々に減らしていく方で無事禁煙に至る方はほとんどいらっしゃいません。禁煙に成功する方は、ある日やめるという方が多いです。
大きな病気がきっかけになったり、病気が進行してタバコがおいしくなくなったからやめるという方も多いです。できるだけ若いうち、40歳までに禁煙することで寿命への影響は元々吸わない人とそれほど変わらないというデータもあります。早く禁煙するにこしたことはありません。
禁煙を考えたときに、太ることを心配される方も多いです。実際、禁煙により体重増加するというデータはありますが、年の単位でみると元の体重に戻ることが多いとされます。禁煙のメリットの方がはるかに大きいと考えています。
禁煙をしたいけどできないという方に、勧められるのが禁煙外来・禁煙治療です。
基本的にはニコチン依存症として、徐々にニコチン投与量を減らしていったり、喫煙意欲の下がる薬剤を使用して禁煙を目指します。
保険適応であれば、費用的にもタバコの代金ぐらいでまかなえます。
禁煙の気持ちがある方で、うまくいかなかった場合などで禁煙治療を考えてみてください。