尿潜血検査は尿中のヘモグロビン(赤血球の酸素を運ぶ部分)に対する反応を見ています。そのため、赤血球がない場合でも陽性になったり、筋肉の疾患で尿中に認めるミオグロビンに反応して陽性になることがあります。
血尿の正確な定義は、尿の中の赤血球が増加することです。それを見る検査は、尿沈渣といって顕微鏡で見て赤血球を数えることで判断します。顕微鏡で見てわかる顕微鏡的血尿と肉眼で見てわかる肉眼的血尿(赤~褐色の尿)があります。
健診などでは、主に簡便な試験紙法の尿潜血検査を行います。陽性の場合に尿沈渣を行う流れになります。
腎臓(じんぞう)の病気は、急に悪くなる場合とゆっくり悪くなる場合があります。急に悪くなる場合は症状も出ることが多く、患者さん自ら病院を受診して診断・治療につながります。一方ゆっくり悪くなる場合は、症状が高度ではなく気づきにくいため、かなり悪くなってから病院を受診される場合もあります。
急に悪くなる場合は、治療により改善する可能性があります。しかしながら、ゆっくり悪くなった場合は腎臓の状態、特に糸球体や尿細管(
腎臓の構造や機能についてのページを参照)が砂漠のような状態になっており、改善しない可能性が高くなります。そのため、ゆっくり悪くなる病気の場合は、症状が出ない段階で発見・治療する必要があります。
腎臓の働きを徐々に落とす病気では、糖尿病や高血圧が有名です。その他にも、慢性糸球体腎炎という病気の場合は、原因によりますが30年以上かけて徐々に進行することもあります。透析という特殊な治療が必要なぐらい悪くなって初めて病院を受診されることもあります。その場合は、透析や腎移植しか治療がないことになります。
それでは困るので、早期に治療ができる段階で発見しようということで、健康診断や人間ドッグなどに尿検査があります。
糸球体腎炎を発症すると尿蛋白が陽性になるだけではなく、多くの場合は血尿も陽性にるため診断の参考になります。