井土ヶ谷ふじい内科|内科・腎臓内科・糖尿病内科

横浜市南区の井土ヶ谷ふじい内科

高血圧の生活習慣改善と治療

高血圧の治療に関して

   高血圧の治療には、生活習慣の改善と血圧を下げる飲み薬(降圧剤)による治療があります。高血圧は薬を飲んでいれば必ず良くなるというものではなく、可能な範囲で生活習慣の改善も一緒に行っていくことが大切です。
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  まずは、生活習慣の改善で血圧の改善を目指します。改善が見られない場合には薬を始めるか相談をします。高度の高血圧であれば、すぐに薬による治療をお勧める場合もあります。また、生活習慣の改善のみに固執することもお勧めしません。高血圧の原因には、生活習慣だけではなく体質や遺伝、加齢なども影響しており、薬が必要になる状況の方が多いからです。実際に、90%の方は寿命までに高血圧になるとされています。

 ただし、血圧は治療中においても変化しやすいものです。生活習慣の改善や薬でも数か月以上かけてゆっくり改善する場合、年齢とともに徐々に上昇する場合、退職など環境の変化で変動する場合など、その理由は様々です。そのため、自宅での血圧測定の継続が必要です。

Ⅰ.生活習慣の改善について

1.塩分制限

   高血圧患者さんの1日の目標塩分摂取量は、6g未満です。数字を伝えるのは簡単ですが、実践するのはとても難しいものがあります。
食事 井土ヶ谷ふじい内科
塩分制限は、少しでも減らしていく、合格点に近づけるという姿勢が大切です。日本人の平均塩分摂取量は、1日11-12g程度と報告されており、1日1g減らすことで血圧は約1mmHg程度低下します。あまり下がらないように感じるかもしれませんが、効果は患者さん毎に異なります。塩分制限を実施したある患者さんでは、他の生活習慣の改善とも組み合わせて、血圧が10-20mmHg以上も下がったという例もあります。さらに、塩分制限をすることで、血圧の薬の効果アップも期待できます。

 また、塩分制限が「できている」と思っている方と「できていない」と思っている方で比較してみても、塩分摂取量の結果はあまり変わらなかったというデータがあります。つまりそれだけ塩分制限を感覚だけで実施するのは難しいということです。1日の塩分摂取量には、ある程度正確に測定する方法があります。1日分の蓄尿検査によって塩分のおしっこへの排泄量から推定する方法や、食事摂取記録から計算して評価する方法などがあります。
 まずはやってみることが大切です。こつとしては、トウガラシやレモンなど塩以外の調味料で味をつける、おみそ汁などの汁物や麺類を避ける、汁ものを摂取しないようにする、ハムや練り物などの加工品は塩分が多いので注意する、塩分の多い調味料は料理の最後の方に使うなどです。

 外食や加工品を買う場合は、成分表を確認してみてください。塩分と書いてあればそのままの量ですが、一品すべてではなく100g当たりなどで書いてある場合もあるので注意してください。また、ナトリウム(Na)量と書いてあるものは2.5倍することで塩分量となります。

 例えばナトリウム 800mgと書かれている場合は2.5倍して、塩分(塩化ナトリウム)2000mg=2gとなります。
 当クリニックでは、患者さんの食生活をある程度確認させて頂いてから、患者さんそれぞれに合った方法を相談させて頂きます。

2.その他の食事療法

  塩分制限以外では、果物や野菜に含まれるカリウムを積極的に摂取することで、塩分をおしっこへ捨てる効果がアップします。ただし、腎臓の働きが悪い場合はカリウムが体にたまってしまい、不整脈を誘発する可能性があるので相談してください。
食生活 野菜
   他には、低脂肪の乳製品・無塩のナッツ類・全粒穀物を多く食べる、牛肉や豚肉より魚や鶏肉を多く食べる、砂糖入り飲料水やお菓子を摂取しないなどがあります。おおむね健康的な食事のイメージに合致すると思います。これらの食事療法を塩分制限に加えることで、より血圧低下の効果が期待できます。これも食生活を確認し、他にお持ちの病気を加味して相談させて頂きます。

3.節酒

  アルコールは適量を超えた場合は血圧を上げる作用があります。
適量としては、純アルコールにして男性で1日約20g、女性で1日約10-15gとされています。

【例】アルコール6%のビールを500ml→500×0.06で30ml
純アルコールは1mlあたり0.8gなので、30×0.8で24gとなります。

 これはほぼ適量です。思った以上に適量は少ないものになります。それ以上飲酒されている方であれば、適切な量に減らすことで血圧低下が期待できます。ちなみに適度な飲酒は動脈硬化に良いという話もありますが、適度な飲酒をできる生活状況が体に良いだけで、アルコール自体が良いわけではないという報告もあります。
 また、肝臓や神経には少量でも悪い影響があるとされています。それぞれの疾患のある方は、主治医の先生に相談してください。

4.体重減量

  肥満の方は、減量により血圧改善、血圧の薬の効果アップが期待できます。
適切な体重は筋肉の量にもよるので絶対的ではないのですが、BMIという簡便な指標があります。

【BMI(body mass index)】
BMI= 体重kg ÷ (身長m)÷ (身長m)

普通体重:18.5-25.0 (22.0前後が最も寿命が長い)
適正体重= (身長m)×(身長m) ×22
 例えば、身長170cm=1.7m、体重 70.0kgであれば、
 ・BMI = 70.0÷(1.7)÷(1.7) = 24.22
 ・適正体重 = (1.7)X(1.7)×22=63.58 kgとなります。

 減量で大切なのは、適切な食事量と運動、筋肉量です。基礎代謝といって、何もしなくても体内で消費するカロリーがあります。基礎代謝は筋肉量が多いほど上がります。
減量の簡単なコツとして、1日2回朝と夜の体重測定をお勧めします。
毎日測定することで、「こうなると増えるのだな」、「減るのだな」と感じることができ、さらに1日2回体重を意識することにつながります。

5.運動療法

  運動療法を実施することで、運動による血圧の低下、減量を介した血圧低下、筋肉量を増やすことによる血圧低下などが期待できます。

 運動量に関しては、いろいろな報告がありますが、まずは始めること、続けることが大切です。1日10,000歩を目標としますが、現在1日2,000歩の方は4,000歩からなど、まずは現状を把握してから検討します。また、すでにしっかり散歩されている方は、少しスピードを上げてみる、別に軽い筋トレをしてみるなども選択肢になります。週に1回でも、1日10分でもやらないよりは良いというデータもあり、やはりまずは始めることです。

 運動中は血圧が上がる方も下がる方もいらっしゃいます。そのため、血圧の管理ができていない方は運動中の血圧変動で調子を崩したり、大きな病気を発症することもあります。血圧が高い方や治療中の方は、必ず主治医の先生に相談してください。

6.禁煙

禁煙 井土ヶ谷ふじい内科
  喫煙は、それだけで動脈硬化を進めます。また、悪性腫瘍を増やすことも知られています。さらに、喫煙により血圧を上げる作用もあります。

 一方、禁煙することで、血圧を下げる効果だけではなく、直接動脈硬化の進行を抑える効果が期待できます。そのため、禁煙を強くおすすめします。本数は少ないほどいいはずですが、1日に0本と1本でも差があるとされています。つまり、一番良いのは完全な禁煙です。禁煙外来などの利用も検討していただき、完全な禁煙を目指してほしいと思います。

7.安眠

  睡眠時間が短い場合や不眠症の場合、血圧を上げる作用があります。翌日疲れが残らない程度の睡眠が必要です

Ⅱ.血圧を下げる薬(降圧剤)

  降圧剤には、主に血管を広げて圧力を減らす薬と、血液の流れる量を減らす薬があります。それぞれ高血圧以外にお持ちの病気によって向き不向きがあります。しっかり説明を聞き、納得したうえで飲むようにしてください。薬の組み合わせにより効果の増大が期待できるものもあります。

 一つ知っておいてほしいことは、ある程度高度の高血圧が持続しているとその血圧に体が慣れてしまうということです。その結果、薬の飲み始めに、まだまだ高い血圧でも血圧を下げた影響でフラフラしてしまうことがあります。その場合、徐々に慣れることが多いですが、症状が強い場合は血圧の薬をいったん減らしてから徐々に増やすなどの方法があります。薬を飲んだけど合わなくてやめてしまい、そのまま受診せずにほうっておいたというのだけは避けてください。必ず主治医の先生に相談してください。
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