糖尿病の合併症
受診の流れ
- 採血結果で糖尿病を診断します。必要であれば、再検査や糖負荷試験を行い診断します。
- 生活習慣の改善(食事や運動など)を提案します。程度によっては早期の治療を検討します。
- 現状の合併症の評価を行います。網膜症の評価のため眼科を紹介させていただきます。
大事なこと
- 症状がなければ大丈夫という病気ではありません。症状がなくてもほうっておかないようにしてください。
- できる範囲で生活習慣の改善をしましょう。何ができるか、できないか相談していきましょう。
血糖が高いことがなぜ問題かというと、血糖が高いことで全身の血管を傷めてしまうからです。
毛細血管などの細い血管を傷めることで、神経、眼、腎臓を壊してしまいます。糖尿病の三大合併症とされています。下記に詳述します。
毛細血管よりも少し太めの血管も傷めることで、心筋梗塞、脳梗塞、全身の動脈硬化、腎臓の働き低下などに至ることがあります。
血管全体を傷めることで、神経障害に加えて足の血流が悪くなり潰瘍や感染を起こし、最悪の場合切断に至ることがあります。
さらに、ばい菌や異物と戦う免疫というシステムの異常もきたします。結果、肺炎などの感染症にかかりやすくなったり、悪性腫瘍も増えるとされています。糖尿病の管理をしっかり行えれば、その可能性を下げることができます。重症の糖尿病の方は重症の感染症を併発することも多く、治療が難しくなります。
糖尿病の三大合併症(細い血管を傷めることで引き起こす糖尿病に特有のものです)
Ⅰ.糖尿病性神経障害
- 毛細血管の障害による血流障害と高血糖による神経変性などで発症します。
- 糖尿病発症5年後ぐらいより出現します。
- 症状は末梢神経障害(手足のしびれ、痛みなど)、自律神経障害(尿の排泄障害、慢性下痢・便秘、急な血圧低下など)です。
Ⅱ.糖尿病性網膜症
- 眼の光を感じる役割をする網膜が毛細血管の障害で酸欠状態になり、新しい血管(新生血管)をつくって酸素不足を補います。新生血管はもろいために容易に出血を起こします。結果、網膜の障害や網膜剥離を起こし、最悪の場合失明に至ります。
- 糖尿病発症数年から10年以上経過して出現するといわれています。
- ある程度進行するまで自覚症状はありません。
Ⅲ.糖尿病性腎症
- 腎臓のおしっこを作る部分(糸球体)を徐々に壊していきます。
- 初期は尿中にアルブミンが少量でて、徐々に増えていきます。そのうち糸球体の破壊が進み腎臓の働きを落とすことになります。最終的には、透析や移植が必要なレベルまで進行します。
- 糖尿病発症10年後ごろより出現します。
*どの合併症も進行してからの治療では多くの改善は期待できません。できるだけ早期に糖尿病の管理をして、出現させないこと、進行させないことが大切です。