むくみ(浮腫)
■むくみで受診された場合の流れ
・むくみの場所や程度の評価
・出現するタイミングや状況の確認
・原因となる薬剤や疾患がないかの確認
・原因検索として、胸部X線、採血、検尿検査
・原因により治療を検討します
■大事なこと
・若年女性では体質的な場合も多いですが、貧血や甲状腺機能低下症などの可能性もあります
・腎臓の働き低下や心臓疾患など内臓疾患の可能性もあり、ほうっておかないようにしてください。
■症状と治療方針
むくみは、医学的には浮腫といいます。血管の外側に必要以上に水分がたまった状態です。原因により指で押すとへっこんだりすることが多いです。重力の関係で足、特に膝下の骨(脛骨)の前側で気づくことが多いです。両側の場合は全身性の病気、片側や局所的な場合は局所の病気を考えます。
全身性の病気としては、腎不全(腎臓の働きが低下)、ネフローゼ症候群 (おしっこに蛋白が大量に出る)、心不全(心臓の働きが低下)、肝硬変・肝不全(肝臓の働きが低下)、貧血、甲状腺機能異常(機能低下あるいは機能亢進)、アレルギー性疾患(好酸球性疾患など)、お薬の副作用などがあります。若年女性で一番多いのは特発性と言って、体質的なものです。
治療は、原因によります。体質的なものであれば、利尿剤といっておしっこを無理して増やす薬よりも様子観察か漢方治療をすすめています。
片側や局所的な病気としては、深部静脈血栓症(太い静脈が閉塞してしまい血がうまく流れずにたまってしまう)、リンパ浮腫(両側性の場合もあります。リンパの流れがうまくいかずたまってしまう病気、原因不明や寄生虫、乳癌の術後など)、遺伝性血管浮腫などがあります。
治療は、原因によります。専門治療が必要なことも多く、その場合は専門医を紹介させていただきます。
受診していただいた場合は、まずは診察させていただき、場所や程度の確認。内服薬を含めて明らかな原因がないのかの確認。明らかな原因が特定できない場合は、X線、採血、検尿検査の一般的な検査で異常がないのか確認。それらで特定できるようであれば、その治療、必要であれば専門医の紹介となります。
特に原因が特定できず、さらに精密検査を必要とする症状がない場合はまずは特発性(原因不明)を考えて経過観察させていただきます。可能であれば立っている時間を減らす、塩分を減らすなどの生活習慣改善をお勧めし、体質改善としての漢方薬なども相談させていただきます。
体質性と決めつけるのも心配なので、若い方でも何かあれば受診を検討してください。
*豆知識として、全身性の病気で両側の足がむくむときは、左足の方が右足よりもむくみます。心臓までの静脈の長さが左の方が長いことに由来します。しかしながら、寝るときの姿勢、つまり重力の関連でも異なるものなので絶対的ではありません。寝ていることが多い方だと、背中がメインでむくむこともあります。