高尿酸血症・痛風発作
痛風で受診された場合
- 典型的な部位(足の親指の付け根)の腫れ・赤み・痛みを確認
- 採血で尿酸の数値を確認
- 薬による尿酸低下で痛風発作が悪化する可能性があるので、まずは痛み止めで改善を待つ
- 痛風発作がある程度落ち着いた段階で、高尿酸血症として対応
高尿酸血症で受診された場合
- 尿酸値の再評価
- 合併症や痛風発作の既往も含めて、治療適応を判断
大事なこと
- 痛風発作の場合は、とても痛いので再発予防が大事
- 痛風発作がなくても高尿酸血症は、動脈硬化を進めてしまうのでほうっておかないこと
- 高尿酸血症は、運動や減量で改善を期待できること
尿酸は、遺伝子を構成するDNAや生体のエネルギーを供給する成分であるATPが分解されてできた老廃物です。プリン体という物質がDNAの材料になるので、プリン体を取りすぎないようにするという食事療法が有名です。尿酸はほとんどの動物で分解することができるので体内にたまりません。ところが人間とサルなど一部の動物で尿酸を分解できずに体内にためてしまいます。
問題なのは、尿酸が多くなることですべてが溶けなくなってしまい結晶化してしまうことです。関節に結晶が沈着すると、激烈な痛みを伴う痛風発作を起こしてしまいます。たまたま痛風発作を起こさないとしても、あるいは痛風発作が改善したとしても、動脈硬化を進めてしまう作用もあります。尿の中で結晶化してしまい結石を形成する場合もあります。尿管結石というやはり激烈な痛みを伴う疾患や腎臓の働きを落としてしまう可能性があります。
尿酸の基準
高尿酸血症 7.0mg/dlをこえる
低尿酸血症 1.5-2.0mg/dl未満
- 高尿酸血症の治療は、痛風発作の既往や他疾患の合併がある場合8.0mg/dl以上で開始。上記がない場合でも9.0mg/dl以上で治療開始を検討します。
- 腎不全の場合、腎臓の働きが落ちることで、尿中に排泄できずに上昇します。その場合の治療基準値は確立していません。
食事療法
尿酸の原料となるプリン体の多いものを避ける食事療法があります。プリン体の多いものにレバー類、白子、干した魚、エビなどがあります。
アルコールに関しては、プリン体の少ないものが市販されていますが、アルコール自体にも尿酸を上昇させる効果があります。飲みすぎないようにしましょう。
体重の多い方では、減量をすると尿酸が下がりますのでお勧めします。
体重過多ではない方でも、内臓脂肪過多いわゆるメタボとなっている方も多く、運動やバランスのいい食事による改善は期待できます。
尿路結石の予防に、1日2L以上の水分の摂取が推奨されています。
治療について
体の中で尿酸の産生を抑える薬、尿中に尿酸の排泄を増やす薬があります。
痛風発作を起こしている状態では、急いで治療を開始すると発作を悪化させる可能性があります。そのため発作時は、痛み止めなどの内服のみで経過を見ます。痛みが落ち着いてから尿酸の治療を検討します。
痛風発作を起こしやすい状況に、尿酸の急上昇と急下降があります。脱水や生活習慣の乱れによる上昇だけではなく、治療開始時の尿酸低下時に発症することもあります。徐々に下げていくことが大事です。
*尿酸は悪いことばかりをしているわけではありません。加齢や組織破壊に関連する活性酸素の処理に必要な物質と考えられています。遺伝性疾患で尿酸が低い方では活性酸素の処理反応が遅くなるため、運動後急性腎不全という病気の発症が増えます。運動後急性腎不全は、100m走や筋トレなどのいわゆる無酸素運動により発生した活性酸素(組織を破壊します)などの処理ができずに、一気に腎臓を壊してしまう病気です。自然に軽快することが多いですが、少なくとも1回発症された方は無酸素運動を避けていただくように指導します。
遺伝性の低尿酸血症を認めない方では、普通の生活で低値となることはないので、高値となっていないか注意していきましょう。